現在では誰もが知る「POND’S」(ポンズ)ブランドのはじまりは、1846年にさかのぼります。
1840年代の初頭、セロン・チルデン・ポンド氏が、当時、彼が住んでいたニューヨーク州・ユーティカの近隣に居住していたネイティブ・アメリカンたちに興味を持ち、交流を始めたのがきっかけです。
ポンド氏はネイティブ・アメリカンたちと数ヶ月間生活を共にし、彼らが「ヒーリング・ティー」と呼んでいたウィッチヘーゼル(ハマメリス)エキスが肌を清め、火傷や切り傷にも効果があることに着目しました。
そして彼は、ネイティブ・アメリカンたちから「メディスンマン」と呼ばれるヒーリング・ティーの作り手から、原料となるウィッチヘーゼルの木の在り処やレシピを学び、保存性などを改良したエキスの生産を開始。
それから数年が経過し、1846年にはT.T. ポンド社を設立。ウィッチヘーゼルエキスを「ゴールデン・トレジャー」(黄金の宝物)と名づけて大々的に売り出し、成功を収めました。
ポンド氏の死後、それは「Pond’s Extract」(ポンド氏のエキス)と名を変えて、画期的なスキンケア製品として広く知られるようになり、歯磨き粉やリップクリーム、軟膏などさまざまな製品にも応用されるようになったのです。
その後、T.T. ポンド社とチーズブロー社との合併、ユニ・リーバ社による企業買収などの曲折を経ながらも「POND’S」ブランドが消えることはなく、より国際的に展開されるようになりました。
1907年には、多目的クリーム「ポンズ コールドクリーム」が誕生。1950年代には日本でも発売され、歌舞伎役者が舞台メイクを落とすための定番アイテムとなり、誰もが知るヒット商品に。
チューリップの花をモチーフにしたロゴマークやアイテム構成は時代とともに変化してきましたが、サイエンスの粋を尽くした美肌への情熱は、誕生から170年以上の時を経た現在でも変わることはありません。